全5回の 第3回 「民俗資料の収集の方法① 伊吹山文化資料館 での校外学習」は、1月31日(水曜) 車に分乗し、伊吹春照の伊吹山文化資料館に集合後、午前は講義、午後は粕渕先生の案内で資料館の見学を行いました。
伊吹山文化資料館は、豪雪地帯の一つの伊吹春照にあり、近くの民家の屋根には数日前に降った雪が多く残っており、豪雪地帯であることが実感できました。ちなみに米原、彦根にはほぼ雪は残っていませんでした。伊吹山の頂上には、昭和2年に11.8Mという積雪記録があり、これは世界一の記録であるという事で、この付近は豪雪地帯である事を実感しました。
お茶についての講義
お茶の種類には、緑茶、抹茶、鳥龍茶、紅茶 があります、
これらのうち、明治4年ごろ西洋との貿易品として、西洋では貴重であった、緑茶が重宝されていました。
それぞれの製法の概略は以下の通りです。
緑茶:GreenTea (不発酵茶)は、滴葉(茶摘み)➔蒸煮(蒸す)➔揉捻(もむ)➔乾燥 の工程を経て作られる
抹茶: 滴葉(茶摘み)➔蒸煮(蒸す)➔乾燥のあと茶臼で粉にし、抹茶とする
紅茶:BlackTea (発酵茶)は、滴葉(茶摘み)➔萎凋(しおれさせる)->揉捻(もむ)->発酵(6-7時間)ー>乾燥 の工程を経て作られる
鳥龍茶:(半発酵茶)は、滴葉(茶摘み)➔萎凋(しおれさせる)->揉捻(もむ)->発酵(3時間程度)ー>乾燥 の工程を経て作られる
雪に関する民俗
屋根雪の除雪、除雪具、霜やけ(雪やけ)に関する資料とお話がありました。詳細は講座の際の配布資料を参照ください。
暖房に関する民具
火つけ具、硫黄木、ゆうて、湯たんぽ、のお話がありました。詳細は講座の際の配布資料を参照ください。
午後は、先生の説明を受けながら、資料館の見学を行いました。展示内容については、写真ギャラリーをご覧ください。
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伊吹民族資料館
この資料館は、学術研究の宝庫として知られる伊吹山麓に旧春照小学校分校の校舎を利用して、平成10年(1998)に開設されました。
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資料館入口
伊吹山の自然に関する化石・草木・発掘の考古資料、山麓で暮らした生活用品、生産用具などを展示しています。入場料は大人200円です。
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1F展示室1 米づくり
昔(江戸から明治時代)の農村生活です。農耕に馬を使っていました。便所が右側にあります。汲み取式なので肥料として利用していました。
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1F展示室1 戦前の生活
中央部隅は風呂で、右側には竈(おくどさん)があります。その上に蒸し器が載っています。手前左側には釜があります。戦前から昭和30年代の生活です。
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1F展示室2 北国脇往還
中山道と北国街道を最短で連絡します。関ケ原から玉、藤川、寺林、春照、伊部、郡上に宿があり、木之本で北国街道に合流する全長約37kmのバイパスです。
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1F展示室2 曲谷の石臼
米原市にある曲谷(まがたに)集落は、「石づくりの里」として、知られています。集落では「曲谷臼」を階段など色々な場所でみれます。
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1F展示室2 木綿
近江真綿は江戸時代中期以降、大名が養蚕を奨励したこともあり、東北地方から木綿布の漂白技術を習得して、さらに信濃地方より真綿作りを習い、工夫と苦心の末にこれを広めました。
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1F展示室2 五右衛門桶風呂
正面は、なつかしい五右衛門桶風呂です。一人用のサウナ風呂みたいな感じです。
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1F展示室2 左が根抜機、右が蚕のまゆ
左が抜根機です。荒地を開墾する時に使います。右は蚕の繭です。繭から絹糸を紡いでいきます。
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1F展示室2 手前がもぐさ、奥が麻糸
左手前の天日干しと加熱乾燥したよもぎを同士の摩擦でていねいいに粉砕します。あとはふるいの中で攪拌して、もぐさとそれ以外の雑物を分けます。
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1F展示室2 薬箪笥
非常に細かい引き出しになっている薬箪笥です。最近は、レトロ品として人気があります。
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2F展示室2 牧野富太郎
NHKの「らんまん」でおなじみの牧野富太郎は、植物採集に伊吹山へ8回も来ています。明治39年(1906)には300人が参加した伊吹山植物講習会を開いています。
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2F展示室3 大阪セメント
1952年に伊吹工場ができ伊吹山の南西の稜線は山容が変貌するまで大きく削られた。1971年からやっと緑化活動が始まり、2003年にはセメント生産が停止しています。
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2F展示室3 伊吹山奉納太鼓踊り
伊吹山の登山口に鎮座する三之宮神社の秋祭りで、5年に1度踊られます。長い日照りが続いた時に神社に参集し、早朝から夕暮れまで雨乞いしたようです。
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2F展示室4 発掘された伊吹の歴史
伊吹町は東西文化の接点として、歴史の舞台に度々登場します。西沢遺跡、筑摩佃遺跡につても東側の影響を受けていることがわかります。
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2F展示室4 合わせ口甕棺、土器と壺
伊吹町の杉沢遺跡で昭和13年考古学者小林幸雄らにより発掘された縄文時代晩期後半の合わせ口甕棺です。
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2F展示室4 河童土偶
筑摩佃遺跡から出土した河童型土偶です。表情が河童に似ていることからの名称です。北陸地方、中部山岳地に集中して出土している特徴があります。
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1F収蔵庫 スキー板など
収蔵庫にはスキー板、そり、石臼などいろいろなものが、収蔵されています。
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1F展示室2 養蚕の話
長浜などの湖北地方の農家では、副業として、桑畑を作り、屋根裏で蚕を繭まで育て、糸をつむぎ絹糸として、出荷していました。
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1F展示室2 炭焼きの話
昔、米原市甲賀ではほとんどの人が炭焼きで生計を立てていました。甲津原まで、木を切りに行って、炭を作って、そこから国友の鉄砲づくりに使われていたようです。
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2F展示室3 セメントの話
伊吹山の山肌を削り景観を損ねているが、コンクリートの元になる石灰岩を大量に産出して、日本の高度成長を支えたのは確かです。