農書と民俗資料

2月27日(水曜)、粕渕先生の最後の講座です。全5回の第5回目です。 今回の講座 「 農書と民俗資料 」 は終日、彦根キャンパスでの講義でした。 恒例の講義の前段として、粕渕コレクションである「マッチ広告」、「包装紙」、「明治時代の芸者のプロマイド」などを見せて頂いたり、彦根城の大本営、平瀬作五郎などの話がありました。本題が始まるまでの「前段」がすごく長かったです。

前段の話

1写真の収集
①女性の写真
粕渕先生は明治時代のちょんまげ、女の人の髪結いの写真を集めています。女性(美人)の写真(プロマイド)を何枚か見せて頂いきました。
②ブロマイドの台紙
◆写真の台紙には、撮影者:羽前国(山形県鶴岡市加茂)、田中謹製、磯谷久麿二と書かかれています。 女郎屋のプロマイドです。

2滋賀大学の史料館
①彦根城の大本営
◆大本営は彦根城の守衛室裏にありました。陸軍大演習を実施するため、彦根城に集合しました。その時に大正天皇が宿泊しました。8食のつけものが全てちがったようです。その他の人が彦根の街に宿泊しました。その接待が大変だったようです。 彦根東高校のナマコ壁の建物に玉座がありました。

②彦根中学の平瀬作五郎
◆朝ドラ「らんまん」に出ていた「平瀬作五郎」の話です。銀杏の精虫を発見したことで有名です。銀杏の木には、オスとメスがあり、オスが飛びメスが受精します。明治12年6月生まれ、石川縣士族、福井県出身です。油絵を学び、帝国大学理科大学の植物学教室で画工として勤務し、植物学に興味をいだき、イチョウの精子を世界で初めてプレパラートで確認しました。その平瀬作五郎が一時、彦根中学にいたことがありました。

本番の講義

1.羽子板の羽根
家に姉が使用していた羽子板が残っていた。桐の一枚板で、少女の絵が描かれている。羽根は真っ黒の堅い実に白い鶏の羽を植え付けています。 堅い実がムクロジの実です。ムクロジの種子に三枚の羽が取付られています。竹串の頭に取り付けられたり、竹串に直接羽根を刺しています。
2.モース
◆明治前期、アメリカから来日したモース(日本考古学の父)も5枚羽の羽子と羽子板のスケッチをその著「日本その日その日」に記述しています。 羽子が5個ずつ竹ヒゴに挟んで販売されていた様子も図に書いて残しています。モースの写真から名前を答えるクイズがQ様に出題されていました。
3.黒色火薬
◆黒色火薬は可燃物としての木炭と硫黄と酸化剤としての硝酸カリウムの混合物からなる火薬の一種です。この3成分の配合比率は品種によって異なり、硫黄を含まない2成分の黒色火薬もある。中国で7世紀前半に発明された。四大発明(紙、印刷術、火薬、羅針盤)の一つです。
4.ネズミ捕り
◆宇田川竜雄著の「ネズミ」(昭和40年)によると日本における食害は、輸入食糧の一年分に匹敵すると書かれており、それに対抗するネズミ捕り器について、粕渕先生が記述しています。ネズミ捕り器の古いものに、「枡落とし」、「地獄落とし」、「仕掛け弓」などがありました。
5.つばめ
◆ツバメは4月頃い南国から飛来し、5月頃に産卵、6月にヒナを育て、7月には巣立ちし、屋外で生活し、9月頃には群れをなして南の国へ帰るという、子育てを目的に渡ってくる鳥です。明治期のツバメの巣は、モースによって観察・記録されています。彼の著書「日本人のすまい」には、ツバメが家の中に巣をつくるのは日本人の動物に対する優しい心からだとし、屋内の巣は、外の巣より丁寧につくられていると書かれています。
6.熨斗紙
◆粕渕先生は熨斗紙を30年集めています。最近は贈答品に添える「熨斗」は印刷された熨斗紙で代用されることが多いです。元は六角形の紙に「熨斗アワビ」を挟んだものが用いられていました。熨斗紙には、「六角形」、「松竹梅」、「鶴亀」、「バンザイつる」などいろんな熨斗紙があります。本来、のしは乾燥食品の一種で、アワビを日干しした保存食で、この「生臭いものを添えることが不吉でない」ことから「めでたいもの」に使用されるようになりました。

最後の講義の様子は以下の写真ギャラリーをご覧ください。