動物との暮らし 三方よし

講師 滋賀県動物保護管理センター 主幹 松本 浩樹 先生

ペットとして動物を飼育している人が増えています。
ペットの代表は犬と猫ですがメダカ、金魚から小鳥、ウサギ等多様です。
令和2年の数字で猫は960万頭、犬は850万頭で合計の1810万と言う数字は15歳未満の子供の数1512万人より多い状況です。
かつては野良犬、野良猫化して施設に引き取られ殺処分されていたが、最近は法律の整備も進んで大幅に減少傾向を示していますが30%台の数字です。

1. 法整備

動物管理から動物愛護へ法律が整備され、動物取引業の規制も強化されました。
最近はマイクロチップの装着、登録が義務化され罰則も強化されています。

2. 動物保護管理センターの業務

職員8名(獣医師5名)で以下の業務と地域の苦情対応にあたっています。
①家庭動物の適正な飼育管理の指導と助言
②理由がある場合の飼い犬、飼い猫及び負傷動物の引き取り
③保護や引き取った犬猫の管理及ぶ処分(譲渡・致死)
④取り扱い業者の登録と指導
⑤特定動物の飼育許可、飼育施設の監視、指導
⑥人と動物の共生調和を目指した啓発事業
 ふれあい広場の開放、犬猫譲渡前講習会、地域への講師派遣、施設見学
★目標は動物の飼い方三方よし
・飼い主が適正に最後まで飼う事。
・動物は最後まで幸せで大切にされる事。
・近所も受け入れて迷惑を受けていない事。

3. 犬猫収容業務

飼えなくなったり、迷子などで保護されてセンターに来ます。
健康面、性格をチェックして譲渡適性を審査し、適性がなければ致死処分になります。
致死処分は獣医師にとってもストレスの大きな仕事です。
合格したら譲渡会などで新しい飼い主に譲渡されます。
今は野良犬、野良猫が減っているので、引き取られる犬猫も減っています。
不妊去勢手術も増えています。
飼えなくなった犬猫を減らすには人が最後まで飼えるかしっかり考えることが必要です。

4. 苦情対策

猫に関する苦情が多い現実があります。
犬はリードで繫がれて管理されていますが、猫は自由度が高い状態で飼育されています。
繁殖力も高く、1頭のメスが1年後には20頭に増える可能性もあります。
猫の苦情
・糞尿、車に傷、さかりの声、ごみを漁る、ノミ被害 等
野良猫対策の第一歩
①エサやり禁止
②適正飼育の徹底
 室内飼育、不妊去勢手術の実施、首輪・名札の装着
 捕獲、手術、搬送等は補助もあります。(予算枠も有り)
③増えた野良猫への対策
 捕獲、手術の上でリリースして適正管理
 地域猫活動(補助対象)

5. 地域猫活動

補助金も出る活動ですから詳細はネットなどで調べてください。
野良猫被害は生活環境被害に相当します。
地域猫活動は動物愛護活動ではなく、環境美化活動と考えてください。
地域全体での合意が事前に必要ですし、調査も必要です。
地域猫活動は一時的なものではなく継続が大事な活動です。

6. 多頭飼育問題

犬猫の多頭飼育の問題は飼い主の認知機能の低下なども関係している場合が多い問題です。
三方悪しに相当する問題ですので、動物保護管理センターなどに相談してください。
「滋賀県多頭飼育問題対策マニュアル」もあります。

7. 狂犬病の恐ろしさ

狂犬病ウイルスはすべての哺乳類が感染します。
感染した動物に噛まれる事で感染し発症すると治療方法が無くほぼ100%死亡する病気です。
人の潜伏期間は1~3か月
犬は2週間から2か月
猫で2~3週間です。
世界中で発生しており、毎年55000人が亡くなっています。
現在日本では発症例はありません。
2013年台湾で発生した為、アジアの清浄国は日本だけになりました。
海外で犬にかまれて日本に帰国後発症して死亡する事例が2020年に起きています。
韓国も清浄国でしたが1993年に再流行しています。
輸入コンテナなどに迷い込むコウモリ、犬猫などと共に日本に侵入するリスクが高まっています。