悪徳商法の手口と対処法 ~賢い消費者になりましょう~

講師 滋賀県消費生活センター 消費生活相談員 中橋 由里子 先生

消費生活センターは県内の消費者の契約や解約に関する相談を受け付け、適切な助言や情報の提供を行っています。
相談者が自ら解決することが困難な場合は事業者との間に入り解決するために事業者と交渉を行う事もあります。

1. 消費者被害状況

2022年 全国消費者被害状況
消費者が消費者被害・トラブルと認識して相談した件数のうちで経済的な損失を支払額として合計した金額は6.5兆円に達します。相談件数は89.5万件です。
滋賀県の状況
①相談件数 12000~15000件の相談が寄せられています。約3000件の架空請求はがきの相談が含まれています。
②60歳以上の相談が全体の40%です。
相談の多い順に 
1.化粧品 2.健康食品 3.工事・建築 4.フリーローン、サラ金 5.賃貸住宅 
6.オンラインゲーム 7.光回線、プロバイダ契約 8.自動車 9.携帯電話 10.金融サービス

2. 消費センターの仕事

公平中立な立場から契約トラブルの相談などを受け付ける行政の窓口です。
平日の9時15分から16時まで相談を受け付けています。 
滋賀県の消費生活センター 相談専用電話 0749-23-0999 です。
※ 休日対応 消費者ホットライン「188」は国民生活センターの休日相談で対応しています。
※ インターネット消費生活相談は24時間受け付けています。「滋賀県インターネット消費生活相談」で検索してください。  
事業者と消費が直接交渉する場合、業者の情報、交渉力等が消費者に比べて強く、消費者が不利です。
この不利な格差を是正するための存在が消費者センターの業務です。

3. 契約とは何でしょう

「弁当を買う、スマホを買う、電車に乗る、ネットで物を買う、映画を見る、ジムに入会する」これらすべて契約です。
契約とは消費者が申し込みをして事業者が承諾する行為で「法的な責任を伴う約束」を契約と言います。
お互いの意思が合致すれば成立します。口約束でも契約です。
どんな約束でも原則は自由で、自分の都合では勝手にやめる事はできません。
しかし、次のような場合は例外として契約をやめる事が認められています。
①消費者が未成年、成年後見制度利用者だった 
②お互い契約をやめることに合意した 
③クーリング・オフする場合
④相手が契約を守らない場合 
⑤騙された場合、脅されていた場合 
⑥説明が違う、うそを言われて場合 が主なものです。

4. 消費者はなぜ騙されるのか?

業者は契約を取るために、いろいろ考えています。
消費者が自分の都合の良いように解釈するように話します。
結果、よく考えたら不要なのに契約してしまう状況が発生します。
消費者は騙された事例を知り、騙されないことが重要です。

5. 見守り新鮮情報・・・最新騙され事例

①パソコン警告表示詐欺  
PCの画面に突然警告表示がでて、プリペイド型電子マネーでの支払いを要求される手口
対処:表示される電話に絶対連絡しない。 
画面を閉じる、強制終了する。(強制終了の方法も勉強しておく)
独立行政法人 情報処理推進センターのホームページで対処方法を調べる。
②通信販売(ネット、テレビショッピング、カタログ通販)はクーリング・オフできません。
自分で購入意思を表示しているのでクーリング・オフを行使できませんので、返品条件を購入前に確認する必要があります。
よくある事例:定期購入トラブル 
安い価格設定で表示されているが、2か月ごとに3個買う定期購入契約になっている場合がある。
「定期購入であることがわかりにくい」ことが問題。安い価格表示は契約内容、解約条件等をしっかり確認する。
注文画面のスクリーンショットを保存しておくことも大事。
③インターネットで注文したが商品が届かない、偽物商品が届く例も多い。 
通販のサイトが本物かどうか?偽サイトもある前提で確認することが大切。
サイトのURLをチェック、日本語をチェック、大幅値引きも怪しい、住所をチェック、連絡手段をチェック、支払い方法をチェック、等
④暮らしのレスキューサービス  
修理に高額請求も良くある話です。
複数の見積もりで費用検討しましょう。
納得できないときは契約しない事。
この場合はクーリング・オフできる場合もあるので相談しましょう。
⑤架空請求、フィッシング  
宅配便業者を装った「不在通知」の偽SNSに要注意。すぐに削除する。
クリックすると不正なアプリをインストールされてしまう。
また偽サイトに誘導されて、IDやパスワードを入力させられて、身に覚えのないお金を請求される。
⑥投資詐欺  
投資や儲け話を聞いたら詐欺だと思いましょう。
高利回りが本当なら他人からお金を集める必要はないのです。

6. 見守りの必要性

高齢の被害者の特性として健康・お金・孤独に不安があり、経験値・経済力・プライドは高いという特性があります。
本人が詐欺に気づいても人に相談しづらい。
騙された私が悪い、家族に怒られると考えて、被害が放置され、救済もできず、悪質業者も野放しになるという悪循環が生まれる。
何か様子がおかしい→声かけ→つなぐ 消費者生活センターに連絡して相談する。
早期発見、拡大の防止につながります。

7. クーリング・オフの方法

契約書面を受け取ってから一定の期間以内に書面で通知すれば、契約を解除できる制度です。
詳しくは添付の書面を参照してください。
販売商法によって書面で通知できる期間が変わります。
書面での通知は一般的にはがきが使われます。
発信したことを証明できる「特定記録郵便」か「簡易書留」で郵送します。
2022年6月からメールやLineでのクーリング・オフできるようになりました。
クーリング・オフの効果
①通知した時点で契約は解除できます。
②支払った代金は全額返金されます。
③受け取った商品は引き取り費用を業者負担で返品できます。
④サービスが提供されていても、事業者負担で元に戻してもらえます。



8. 消費者トラブルに合わないためのポイント

①ウソや勘違いは無いか?確かめる
②「絶対に儲かる、あなただけは特別、ネットで話題、有名人もお勧め」 こんな言葉はない。
③契約は慎重に
★騙された人は悪くない。
・騙す方が悪い
・脳は思い込みや勘違いをする
・心身が弱っている時は要注意
・大丈夫と思う人ほど、騙される
★トラブルに合わないための五か条
①断るときはきっぱり 
②個人情報は教えない 
③うまい話はまず疑う。 
④契約前に相談する。 
⑤騙されても、あきらめない