食事や他の薬との飲み合わせ

講師 認定薬剤師 公認スポーツファーマシスト 清水 哲(さとし)先生

1. 薬はしっかり服用方法を守る

飲んだ後の薬の成分の血中濃度が上がりますが、この濃度を適正な範囲に保つことが大切なのです。
過剰に飲めば危険な範囲に上がります。
飲み忘れると効き目が出ない範囲になり、耐性ウィルスができる可能性が高まります。

2.飲み薬の効果

飲み薬は飲んだ後、胃で消化され腸で吸収され肝臓などを経て血液の中に入って初めて効果を発揮します。
効くまでに30分程度はかかります。
すぐに効く注射との違いです。
①グレープジュースで高血圧の薬を飲むと気分が悪くなり、めまいがすることがあります
カルシュウム拮抗剤は薬が効きすぎるのでグレープフルーツジュースで飲むことはできません。
グレープフルーツを元に作られたポンカン、文旦なども避ける必要があります。
必ず処方されるときに注意書きがありますから守りましょう。
②血液サラサラの薬(ワルファリン)はビタミンKで効かなくなります。
ビタミンKは青汁、納豆などに含まれていますので脳梗塞になる危険が増大します。
③風をひいた時に処方される抗生物質はカルシウムで効果が抑えられることがあります。
鉄、マグミット、カルシウム(牛乳、ヨーグルト)と一緒に飲むと良くない抗生物質がありますので注意してください。
④風邪薬とコーヒー、コーラはカフェインがダブるので効きすぎることがあります。
⑤胃薬と炭酸飲料も重曹がダブるので効きすぎる可能性があります。

3. 麻薬、覚せい剤の成分が含まれる薬

皆さんは麻薬、覚せい剤は飲んだ事がないと思われているでしょうが、そんな人は稀です。
普通に市販薬に含まれているのです。
これらの成分は有効な薬の成分でもあるのです。
・気管支拡張   dlメチルエフェドリン塩酸塩(覚せい剤) 
・鎮咳   ジヒドロコデインリン酸塩 (麻薬) 

4. スポーツファーマシスト

スポーツの世界では飲んでも良い薬と飲んではいけない薬が存在します。
スポーツファーマシストの仕事はドーピング防止規則に関する正確な情報と知識を持ちドーピングを防止することを主な活動としています。
日本アンチドーピング機構から認定されます。
競技スポーツで飲んでも良いもの
①基本的には事前に審査されて許可された飲料、食品
 → インフォームドチョイスのマークが入っている物
②薬局で購入できる薬は飲んでも良いものもダメなものも含まれているので十分注意する必要があります。
 例えばバッファリンと言っても多くの種類があります。
 たとえ子供用であっても総合風邪薬系の物はドーピング違反になるものがあります。
 薬の名称を正確に把握して確認することが求められています。
 同じような商品名でも付加されたアルファベット文字でOKとNGが分かれます。
 毎年許容される商品は改定されます。

5. ジェネリック医薬品

ジェネリンク医薬品メーカは沢井製薬、東亜製薬、日医工が有名です。
それぞれ生産ラインに問題があり生産に影響が出ています。
どのような事情があるのでしょうか。
日本の医薬品メーカは材料調達から製薬まで一貫して手掛けてきたので、本来その体制を持っています。
しかし、ジェネリック医薬品が承認されてから、ジェネリックメーカに多くの生産量が流れた為、それらの医薬品から利益が得られなくなり生産を大きく減らしている状況です。
ジェネリックメーカは低価格の為に海外特に中国から原材料を買い製薬している為、材料の調達が滞ると生産量が落ちてしまいます。
中国が政治上の問題で供給を絞れば生産に影響が出る訳です。
そこで他の生産国に頼ることになるのですがそれがイスラエルとなると紛争を抱えているので、材料の入手は今後も多難な状況になることは明らかです。
イスラエルは医薬品の主要材料生産国の一つです。
ジェネリック医薬品の生産にはこのような課題があるのです。
安いからと言ってすべてジェネリックに流れてしまう訳にはいきません。
ジェネリンク医薬品の品質
ジェネリック医薬品の価格は安いのですが、おおむね価格帯が3段階あります。
すべて元の医薬品と同じではないのです。
①オーソライズドジェネリック(AG) 元の医薬品と全く同じで元のメーカの子会社が生産することが多い。
②医薬品は血中濃度が80%~120%であれば基本的に承認されるので元の薬と同じとは限りません。
 従って、何か違うと感じる患者さんが居ても不思議ではないのです。
ジェネリックの選択も必要なのです。
 これを踏まえて、薬局でAGジェネリックを依頼することも可能ですから話してみましょう。