備えと構えで減災を目指す ~“明日は我が身”に備えの実践~

講師 たかしま災害支援 ボランティアネットワーク 「なまず」 代表 太田 直子 先生

湖西の高島を拠点に「明日は我が身に備えの実践」をテーマに地域の防災出前講座・防災教育・各種イベントの開催などの活動にしておられる先生です。

1. 防災に関する身近なクイズ

①自宅にいて地震発生時に最初に取るべき行動は?
火を消すという考え方は古いです。
阪神大震災や関東大震災の教訓から火を消す余裕はありません。
身を守る行動が第一です。
マンション住まいのように出口が一ヶ所であれば、扉を開ける行動も正解です。
しかし、日本家屋なら逃げる出口は少なくありません。
身を守る行動=家の中で安全な場所に隠れる事が第一優先事項です。
玄関、廊下など自宅で一番強度のあるつぶされない場所を日頃から調べておきましょう。
②地震で亡くなる原因で一番多いのは?
圧死です。津波、焼死は二次災害になります。
③家具や箪笥が最も倒れやすい床は?
倒れにくいのは木の床です。 畳<カーペット<木の床の順に倒れ難い。
④地震で閉じ込められた時、水なしで生きていける時間は?  
水なしで生きていける時間は3日間です。
命を温存する為に重要なことはむやみに叫んで助けを呼ばないことです。
声を出すと水分を多く使います。
自分の居場所を伝える手段は何かをたたいて音を出す方法がベターです。
⑤地震の後生きるための必要な保存食の量は? 
1週間の備蓄が推奨されています。
かつては3日間でした。
阪神、淡路の震災では3日で大丈夫でした。
それは範囲が狭く、大阪など周辺の被害が皆無だったからです。
東北の震災では規模が大きく、交通網が分断され、原発問題も発生した為、3日間では不可能でした。
南海トラフ型の地震は規模が大きく、流通がダメになればスーパーに食料の在庫が届きません。
田舎なら大丈夫とも言えますが、スーパーが冷蔵庫代わりの都会では3日間では厳しいのです。
電気が亡くなると劣悪環境になります。
⑥1日のトイレの回数は?  
平均すると5回です。
災害時のトイレは皆同じ時間に並ぶ可能性が高いので、一番大事かもしれません。
段ボールで作る、袋で作る、屋外に作るなど方法はあるでしょう。
木炭や燻炭(もみ殻の炭)と石灰を混ぜたもので覆うと匂いが亡くなります。
⑦災害関連死で多いのは?  
肺炎、気管支炎が最多要因です。
歯磨きができないので、口内が不潔になり、口内の細菌が体内に入り込み易いことが原因です。 
口内ケア用品の備蓄も必要です。
⑧住む場所の選択 
梅田、吉田という地名は災害に対して強くない可能性が高いです。
軟弱地盤では地震の揺れが1.5~3倍程度に増大する可能性があるとされています。
梅田→埋田:埋立地の可能性が高い土地です。液状化や揺れも大きく増大する可能性があります。
吉田→葦田:ヨシが茂っていた土地の可能性があります。
軟弱地盤を示す漢字 川 河 江 池 湖 瀬 沼 淀 泉 井 浜 岸 淵 浦 谷 窪 島 

2. 運を天に任せず、事前の備えで命を守ろう

①減災
起こる災害は防げないが、被害を少なくすることはできるという考え方です。
災害時に最優先すべきものは命です。
命を守るためには災害が起こる前の対策、備えと構えが大事です。
命を守る対策は「十人十色」です。
②構えとは
災害に対する「心構え」・「覚悟」です。
備えた分、構えた分だけ悲しみが小さくなります。
③避難のすすめ
避難とは・・・危険から遠ざかること
避難の三原則  (1)想定にとらわれない (2)最善を尽くせ  (3)率先避難者たれ  
逃げる事は生きる事です。

3. 防災と言わない防災活動のすすめ

日常の地域活動がいざという時の助け合いや戦力となります。
日頃から協力体制ができていることが重要なのです。