ボランティア活動(入門編)

1.市民活動を支えるシニア層

現在、市民活動団体のスタッフでは60歳以上のシニア層が約60%を占めてその中心として活躍されています。
2021年の都道府県別ボランティア行動者率調査で滋賀県は100人当たり約24人が参加しており、4番目でした。前回の調査では1位でしたので、依然として意識が高いことがわかります。これは滋賀県の健康寿命が高い要因の一つかもしれません。

2.ボランティア活動のスタイル

ボランティア活動に必要なのは「やる気」「公益性」「無償の精神」などの堅いイメージはありませんか? ボランティア入門の第一歩はこのイメージを捨てることです。
①ボランティアは自分の好きなことを自由に選べます。お役所仕事は公平性が求められますが、ボランティアは自主活動ですから公平でなくてよいのです。一番のカギは自分の好きなテーマを選ぶことです。
②お役所仕事は始めたら簡単にやめられませんが、ボランティアは続かない活動を継続する必要はありません。
③ボランティアは自分のすぐ隣にある公共性が始まりです。大阪の商人が店の前の川に橋を架けたのは人に来てもらいたかったからです。これは自分の為であり、同時に皆の為にもなれば公共的な行為になります。普段のくらしのすぐ隣にある公共性がボランティアの始まりです。
④ボランティアは「ほっておけない」という自発的な行為です。しんどい事もあるけど、自分自身が元気になれる行為です。
⑤ボランティアを始める時は趣味や得意な事、好きな事を生かしながらの半身の姿勢がお勧めです。いろいろな活動を覗いてみる事から始めるのがお勧めです。自分が困っていた事を仲間と解決し、また一人ではできなかった事を仲間と一緒にチャレンジする活動はやりがいに繋がります。

3.自発的だからこその強み

阪神大震災はボランティア元年と言われます。行政はその公平性から機動力を失っていましたが、多くの人は「ほっとかれへん」のフットワークで活動し大きな成果が生まれました。みんな違うから多様な問題に気づき、多彩な活動が生まれました。また個々に対応できるので全体では不公平でも個々には「温かい」活動になりました。
① これらの経験から行政と市民による「協働」が考えられるようになっています。つまり行政による公平な公共サービスの上に多様な市民などによる温か味のある公共サービスを組み合わせる方式です。
② 社会の課題に対して「当事者意識」が高まると自ら改善しようとする意識が生まれてきます。「かわいそう、役所が悪い」ではなく、頑張る人を孤立させない、辛さを分かち合える街にしたいと考えることが大切です。そして、自ら行動することで「当事者」になり、自分も悩み工夫することで解決策を生み出して街づくりに参加できるのです。

4.ボランティア活動のメリット

活動で得られるメリットは「楽しかった」「役に立てた」「多くの人と知り合いになれた」「自分を生かせた」など多くあります。総括すると「活動する人自身も元気になれる」ということです。

5.コロナ禍を越えて

コロナ禍でみんなが集まって活動することが制限されました。それでも全国の子供食堂などの活動は増え続けています。全国で多くの解決策が提示され、集中せず分散して行う活動が増えているからです。SNSを使った非同期集中の情報共有や離れていても同じ時間を共有するオンライン交流などの工夫が加速しました。

6.ボランティア活動の注意点

自発的であるがゆえに弱点もあります。自発的活動はここまですればOKという基準がないので、頑張る人ほど疲れてしまいます。頑張る→無理をする→疲れる→休む→不信感→頑張るという負のスパイラルに落ち込んでしまいます。「抱え込まない」「孤立させない」ことを第一に「あきらめて別の道を探る」ことも大切です。また、外に向かって問題提起する方法も考慮すべきです。
このような弱点克服に有効な方法は同じような組織と緩やかなネットワークで繋がることです。一つの組織ではなく多様な志向が並立し連携することで孤立や行き詰まりを和らげ、解消できる可能性を高めるのです。
和して同ぜずで、正しさで切り捨てず複数並列を歓迎することです。
ボランティア活動は「やらねばならない」世界ではありません。あなた自身が元気になってこそ地域も素敵な街になるのです。