滋賀は周囲を山々に囲まれ、中央には日本一大きい淡水湖で県の面積の6分の1に相当する琵琶湖を有します。固有種も含めその恵みである多種多様な湖魚と周辺で栽培されるお米が結びつき、鮒寿司などの発酵食品が発達し、これに豆や野菜、イモが合わさり、栄養的にもバランスの良い食が形作られてきました。滋賀県では1998年に「湖魚のなれずし」、「湖魚の佃煮」、「日野菜漬」、「丁稚羊羹」、「アメノイオ御飯」の5点を「滋賀の食文化財」に選定しています。
滋賀の食文化(食材・加工品)
講師の粕淵先生は、「滋賀の食文化研究」の大家です。レイカディア大学で何十年も講義されています。 滋賀の伝統加工品と言えば、全国的に日野町の日野菜(桜漬け)が有名です。高月町の高月菜は地域固有で、今回、初めて知りました。樽で塩漬け(はぐき漬け)します。水口町牛飼の麦酒祭(神事)がビールの発祥だとは初耳です。滋賀の伝統加工品
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日野菜の桜漬け
日野菜の桜漬けは蒲生郡日野町発祥です。歴史的には15世紀後半からです。現在の日野町産出の「日野菜」は、明治から大正にかけて、日野町在住の種苗業者の方が何代にもわたり、苦労され品種改良されたものです。
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高月菜
主に長浜市高月町で生産されています。薄い緑色で他の漬け菜に比べ葉の大きさが25cm〜30cmとやや小さく、葉に切れ込みがあります。秋から冬にかけて収穫され、「はぐき漬け」にして食べるのが美味い。
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むべの献上
天智天皇が奥島山(近江八幡市北津田)に立ち寄った際に長寿の秘密が「むべの実」を食していると説明したことから、以来、毎年秋になると皇室に「むべ」が献上されるようになりました。
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麦酒祭り
甲賀市水口町牛飼の総社神社の酒造り神事(麦酒祭)です。新麦を使い麦酒を醸造し、豊作と悪病除けを祈願します。
歴史は嘉吉元年1441年からです。材料は大麦5㎏、米麹5㎏、水18リットルです。 -
彦根リンゴ
江戸時代に彦根藩の武家屋敷内で栽培され、後に彦根市内に普及した重さ50g程度の和リンゴの一種です。一時、絶滅したとされていたが、「彦根リンゴを復活させる会」にて復活しました。