清涼寺 座禅体験

講師 清涼寺 住職 村瀬 行寛 先生

清涼寺は1602年佐和山城で亡くなった井伊直政を弔うために2代目井伊直孝が彦根の井伊家の菩提寺として創建した曹洞宗のお寺です。
大変大きくて立派なお寺でした。

1. 曹洞宗とは

曹洞宗は、鎌倉時代に宋から日本に伝えられた禅宗です。臨済宗・黄檗宗とともに日本三大禅宗の一つです。
・曹洞宗:宋代の禅僧 道元によって創始された禅宗で坐禅を中心とした修行が特徴です。
・臨済宗:唐代の禅僧 臨済義玄によって創始された禅宗です。
坐禅を中心とした修行が特徴でが、臨済宗はお茶と庭にも関係が深く寺院には禅庭と呼ばれる庭園があり、その中にはお茶を楽しむための茶室もあります。
・黄檗宗:中国福建省出身の隠元隆琦によって創始された禅宗です。
曹洞宗や臨済宗から独立し独自の修行法を確立しました。寺院は中国式の色合いが強いという特徴があります。

2. 曹洞宗の座禅は「只管打坐」

曹洞宗の教えの根幹は坐禅にあります。
それはお釈迦さまが坐禅の修行に精進され、悟りを開かれたことに由来するものです。
禅とは物事の真実の姿、あり方を見極めて、これに正しく対応していく心のはたらきを調えることを指します。
そして坐ることによって身体を安定させ、心を集中させることで身・息・心の調和をはかります。
曹洞宗の坐禅は「只管打坐 しかんたざ」、ただひたすらに坐るということです。
何か他に目的があってそれを達成する手段として坐禅をするのではありません。

3. 座禅

何事もぶっつけ本番は難しいものです。
座禅も座る前と後が大事と言われているように、禅の生活は生活そのものが大事と言われています。
一つ一つの生活を丁寧に行っていくという事につながっています。
座禅は生活そのものです。歩く時は左手を握りみぞおちにつけ、右手で左の拳を包むように添えます。
壁に向かって座ったら息を整え、大きく吐いてすう腹式呼吸を意識します。目は視野を広くしで壁の下部付近を見ます。
言葉はしゃべらないので、鐘が3回鳴ると初め一回なると座禅を終えます。
背筋を伸ばして、体の筋肉をほぐすことが大事です。どこか緊張している筋肉があれば長くは続けられません。
何も考えないように努めますが、人間なのでつい考えてしまうのが生きているという事。心を穏やかに保って過ごすようにします。
何もしなくても生きていることを感じ、命の重みを知ることです。

4. 座禅の始まり

お釈迦様の教えが佛教ですが、四門出遊という言葉があります。
四門出遊(しもんしゅつゆう)は、釈迦が太子の時、王城の東西南北の四つの門から郊外に出掛け、それぞれの門の外で老いて苦しむ人、飢えて苦しむ人、殺しあう人、病気で亡くなった人に会い人生の苦しみを目のあたりにすることで目を開き、出家を決意したという伝説です。
出家して修行し、生まれて死ぬとはどういう事なのかを考えながら菩提樹の木の下で座禅を行ったことから「欲や権力に惹かれることなく慈悲の心で生きる」という悟りを開いたと言われています。
道を究めようとすれば、まず道に入ってみることが大事です。
千利休の言葉に「その道に入らんと思う心こそ、我が身ながらの師匠なり」があります。