災害ボランティア活動について~被災地の活動から学ぶ~

講師 災害NGO結 代表 災害支援コーディネーター 前原 土武(とむ)先生

先生は沖縄生まれで、美容師、旅人、ラフティングガイド、添乗員を経て2011年の東日本大震災をきっかけにプロの災害支援コーディネーターとして活躍されている方です。
モットーは「自分一人のスコップを動かすより1000人のスコップを調整する方が復旧、復興に結びつく」です。

1. 災害支援コーディネーターの仕事

阪神淡路大震災はボランティア元年と言われますが、近年は毎年のように大きな災害が発生しています。
ボランティアも多く集まるようになり、ボランティアセンターもすぐに立ち上がり活動するようになりました。
災害対応の専門職NPO法人多くなり、支援体制は充実して来ています。
それでも課題の多さに対して、何をすれば良いのかわからないボランティアも多いし、支援の力が行きわたっているとは言えません。
この状態を打破するためには、多くの課題と対応する個人を結びつける調整役が重要になります。
この仕事を災害コーディネートと呼んでいます。
災害は発生と同時に多くの課題が山積みになります。
災害コーディネーターは速く課題を把握し、支援の到着と同時にそれらを振り分けることが必要です。
滞留は効率ダウンや混乱を招きます。
だからトム(土武)さんはハイエースに250ccのバイクを積んでいち早く現場に駆け付けるそうです。
バイクは車の入れない現場の情報を幅広く、奥深く把握するための必需品なのです。
■主な支援活動
・現場活動の総合的なコーディネート
・情報の集約&共有・課題の見える化
・災害ボランティアセンター立ち上げ支援
・地元組織・団体の立ち上げ・運営支援など
■「被災地の今」を届ける講演活動
災害は地域の弱いとこが浮き彫りになります。
災害で浮き彫りになった現代社会の問題に積極的に関わりを持つことで、人・社会・自然環境をお互いに結び、人々が遠い未来を自らの手で作るためのサポートを行っています。

2. 災害NGO結(yui)の支援の考え方

災害の復興の最後の仕上げは地元の力です。
この原則を忘れずに支援の在り方を意識します。
さらに重要なことは被災者の心情を理解することです。
一つとして同じ災害は無いし、被災者の思いや心の中も人それぞれです。
①第1段階 緊急の現状把握が不可欠で1~3日が勝負です。
 被災者の心情は不安や恐怖、やり場のない怒りや悲しみが充満しています。
②第2段階 1~3か月をかけた復旧作業の段階です。
 被災者の心情は積極性や明るさも見られ、復旧が目に見えるようになると連帯感や希望が見られるようになります。
③第3段階 3か月~3年をかけて地元の力を育成し復興を地元に根付かせる段階です。
 復興段階になると、早い人とそうでない人もいるので注意が必要です。
 そうでない人は将来への不安や孤独感、絶望感にとらわれ易く、行政への不満も顕在化します。

3. 心を救う支援

3原則は 「被災者中心」 「地元主体」 「協働」 です。
被災者は何もできない人ではなく、できる人は多くいます。
支援者は被災者の主体性を尊重して支援のやりすぎに注意が必要です。
支援は泥をすくいながら、被災者の心を救う思いが不可欠です。
被害に遭われた方の事を考え、何ができるか?何が必要か?考えることを忘れないことです。
復興から遅れた人の心を救うことは大切なポイントです。
復興段階では心の支えが必要な被災者が顕在化してきますから、生活支援が支援の中心になっていきます。
・暮らしのお手伝い
・生活物資などの訪問配布
・被災されて人たちに元気になっていただくための交流会づくりやイベントの開催
・暮らしの再建のための専門家による相談会や勉強会
・復興期における地域おこしのお手伝い など

4. 備え(防災)

災害発生時の最も大切なことは人命救助です。
死者が出た災害は復旧も復興も大きな重荷を背負った状態で行われます。
だから、命を守るための防災が重要だと痛感しています。
大切な人を守るために何が必要か?何を準備したらよいのか?考える防災が重要なのです。
災害が起きても人はスーパーマンにはなれません。
日頃できていることしかできないのです。
①受援力を高める
 ボランティアは地域の人が受け入れて初めて円滑に活動できます。
日頃から繋がりのある地域であれば、相談もしやすい地域です。
災害が起きてからでは遅いのです。
援助を受ける力:受援力のある地域を作る努力をしましょう。
②平時の防災
 平時にできないことは災害時にもできません。
平時からできることを増やして課題を解決できる力を備えましょう。
それが地域の力に変わります。
地域の課題を振り返り、見えて来た課題や地域づくりに取り組む事は防災につながります。

5. 復旧ロードマップ

自分の地域では災害は起きないとほとんどの人は思っています。
それでも災害は発生しています。
どのように災害復旧が進むのか?生活再建がなされるのか?知っておくことは大変良い勉強になります。
■災害支援ネットワークおかやまの被災家屋部会が作成した「復旧ロードマップ」がインターネットからダウンロードできます。