クラウドファンディングで地域貢献!

講師 植田淳平 先生

1. クラウドファンディングとは

クラウドファンディングは群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語です。
インターネット上で不特定多数の支援者や投資家から資金を集め、個人や企業などの事業へ資金提供する仕組みのことを言います。
従来の資金調達方法は、「銀行からの融資」「家族・親戚からの援助金」「協力企業からの出資金」「街頭での募金」などでした。
そのような方法では、起案者が事業情報を届けられる相手が限られるため、資金調達をするのに苦戦する可能性が大きかったのです。

2. クラウドファンディングの現状

日本でのクラウドファンディングは2011年の東日本大震災をきっかけに、復興支援を目的に寄付型のクラウドファンディングが一気に広がりました。
また、コロナ禍を契機に全国的に認知度が上がり飲食店の支援など様々な場面で活用されています。
現在の国内の新規プロジェクトの支援額は総計1500~2000億円の横ばいで推移しています。
問題も顕在化し目標が達成できない事例やお返しができない事例が増えているそうです。

3. クラウドファンディングの流れ

クラウドファンディングでは、事業を提案し資金調達する人を起案者、応援したい事業に資金提供する人のことを支援者といいます。
①事業案をクラウドファンディングサイトへ提出し掲載の有無を決める審査を受けます
②審査に通過したら、クラウドファンディングサイトに掲載されます
③事業を応援したい支援者は資金提供を行います
④目標金額を達成したら、クラウドファンディングサイトに手数料などを払って資金調達できます
⑤リターンを用意している場合は、支援者に渡します。リターンの有無はクラウドファンディングの種類によって異なります。
⑥事業の進捗状況を支援者に報告します

4. クラウドファンディングの種類

クラウドファンディングには、大きく分けて次の6つの種類がありますが、我々に身近なタイプは①寄付型、②購入型、③ふるさと納税型です。
①寄付型
インターネット上で公開されている個人や企業のプロジェクトに、支援者が見返りを求めない寄付として資金提供する資金調達方法のことです。
資金調達方法が寄付型であるため、従来の方法では資金調達しにくかった収益の出しにくい慈善活動のようなプロジェクトが多いのが特徴です。
代表的なプロジェクトには、途上国の農業支援、動物愛護活動、環境問題対策活動、被災地支援、難病治療の薬や治療法の開発、障害者のためのバリアフリー整備、以上のような事業を自治体やNPO法人、公益財団法人、教育事業者、大学研究機関などが立ち上げているのです。
寄付型なので支援者にはリターンがありません。
支援者の資金提供の目的は、「事業への資金提供を通して社会を改善すること」だと思います。
そのため見返りがなくても、資金提供することで満足感や充実感を味わえるのが寄付型クラウドファンディングの魅力と言えるでしょう。
成功の鍵はいかに支援者に共感や問題意識を伝えるかです。
②購入型
起案者が事業で開発したサービスや商品を資金提供の見返りとして支援者に渡すクラウドファンディングです。支援者は、クラウドファンディングサイトに掲載されている商品や事業内容から、資金提供するかどうかを決めます。そして資金提供したい場合は、価格設定された商品を選ぶように資金提供するので購入型クラウドファンディングと呼ばれているのです。購入型クラウドファンディングの事業のジャンルは多岐に渡り、芸術、ファッション、グルメ、家電、フィットネス、映画、そのような事業から生まれた商品やサービスを、支援者は受け取れるのです。
③ふるさと納税型
全国にある自治体が立ち上げた地域課題を解決するための事業へ、支援者がふるさと納税の仕組みを利用して資金提供するサービスです。
ふるさと納税とは、納税者が自分の好きな地域に寄付すると、その自治体から特産品などのお返しを受け取りながら、寄付した額が所得税から控除される仕組みのことです。
そのふるさと納税の仕組みをクラウドファンディングで実現させるのが、ふるさと納税型クラウドファンディングとなります。
受け取れるリターンには自治体の特産品、旅行券、イベントのチケット、衣服、他では購入できない商品を受け取れます。
④株式投資型
投資家が未上場企業に資金提供して、その分の株式を受け取れるクラウドファンディングです。
投資家は、投資先企業の株主となって、経営判断への具申ができます。
投資家は企業が証券取引所に上場したり、M&Aで売却されたときに大きな金銭的なリターンを受け取れる可能性があります。
⑤投資ファンド型
企業が行なっている事業に、不特定多数の投資家から募った資金を投資して、事業成果に応じて投資家が配当金を受け取るクラウドファンディングです。
企業ではなく、企業の事業に資金提供するのが特徴になります。
最新テクノロジー開発、投資家が得られるリターンは、事業成果に応じた分配金です。
事業によってはサービスや商品を受け取れることもあります。
⑥融資貸付型
不特定多数の投資家から資金を募り、企業に融資として資金提供するクラウドファンディングです。
融資とは、企業に対して利子と元本の返済を条件に貸し出す資金のこと。投資家は、リターンとして利息と元本の返済を受け取れるのです。
ただ企業業績によっては利息を受け取れなかったり元本が返済されなかったりするリスクもあるのでご注意ください。
企業はクラウドファンディングサイトに利用手数料と事業成績に応じた分配金を支払います。

5. クラウドファンディングの効果

オカンの発酵便プロジェクトの成功事例からわかることをまとめてみました。
①テストマーケティング
販売前に一定のニーズがあるかどうか確かめることができました。
購入予定者の数が目標以下であれば製品化を見送る決断も考えていたそうです。
品揃えも示して売れ筋の調査もある程度できたし、リピートしたいというアンケート結果も得られたので事業化に自信を持って臨むことができました。
②プロモーション
新聞に取り上げてもらったことで、テレビメディアの取材を受けて認知度が格段にアップしました。
メディアの力は大きく各テレビ局に広がっていくので、クラウドファンディングのページが切っ掛けで全国に名前が知られることになりました。
③ファンづくり
クラウドファンディングの活動報告を活用して定期的に購入者に情報を届けています。
購入者からも購入後の感想や、どこから購入している等、クラウドファンディングのプラットホームのメッセンジャー機能を活用してコミニュケーションンを取っています。
このような日頃の活動がファンづくりにつながっていると思います。
応援の言葉や評価は製品の改善、改良につながり事業への意欲にもなっているそうです。
閲覧数や購入者のデータ(新規、知り合い、都道府県等)も得られるのでマーケッティング開発にも活用できます。

6. プロジェクト成功のポイント

①30%ルール
プロジェクトスタート前に目標の30%は支援の約束を取り付けておきます。
お金を集めること、稼ぐことは簡単ではないし魔法も使えません。
スモールビジネスから始めて、着実に挑戦と失敗を積み重ね、育ていく事が大切です。
第1段階は自分の身近な人の支援に支えてもらい、第2段階は身近な人の知り合いに支援の輪を広げ、第3段階はそれ以外の人へ支援の輪を広げていく考え方です。
自分の思いや熱量を徐々に外へ広げていく考え方です。
②リターンに体験を組み込む
糀づくり体験、サーマルタンクサイン権など通常では体験できないリターンを組み込むことは大きな効果があると思います。
③応援のコメント
第3者の協力をページ内で紹介できるとプロジェクトの信頼性をアップすることができます。
地域内外で同様に頑張っている人のコメントを掲載するとその人の思いも伝わるしし、同時にプロジェクトの思いの熱さも伝わり易くなります。
④PV数(pageview ページビュー)
支援額に直結しているのはクラウドファンディングページの閲覧数です。
7500回=50万円、14000回=100万円、24000回=200万円というデータがあるそうです。
閲覧する数を増やす第一は広報活動です。WEB,SNS広告等、メディア露出→新聞で取り上げられることはテレビに広がるキッカケになります。
見てもらわないことには応援にも寄付にも繋がりません。
⑤成約率のアップ
ページ閲覧者に購入してもらう確率を上げるにはページデザインの工夫が必要です。
 (1)アイキャッチ画像+タイトル
わかりやすく、見栄えのする商品画像にキャッチコピーを入れます。
タイトルに商品名、性能を表現する数字を入れると効果的です。
 (2)支援方法のマニュアルを作成
登録から決済までの流れをわかりやすく説明します。
ここで購入者を挫折させてしまうページも多いと思いますから、丁寧にスピーディーに処理できるようにマニュアルを準備します。
 (3)代理決済
チラシを作成し直接伝えて支援を依頼する。
 (4)詳細説明
購入者の知りたいこと、不安な点を先にページ内で解消するために、例えばQ&Aを作成しておきます。
見る人が知りたいことを示しておく事は大切です。

7. キューレーターの役割

目標達成に向けて起案者に伴走してサポートする人をキューレーターと言います。
申請から公開、終了まで対応します。
プロジェクトの達成はキューレーターの質や能力によって変わると言っても過言ではありません。
★ クラウドファンディングのプラットホームを提供している企業はプラットホームの利用手数料が発生します。
国内最大のCAMPFIREの場合は手数料12%+決済手数料5%=17%+消費税のようです。
これで企業として成り立っている訳です。
起案者が自分で資料作成してもキューレーターからサポートを受けても手数料は変わりません。

「楽しい町にするためにやりたいことがある」「頑張っている人がいるから、助けたい」という熱い思いを実現させる手段の一つとしてクラウドファンディングがあることを教えてもらいました。
何かをやりたい時、必要なものは資金と広報が課題になります。
クラウドファンディングを実施して、幅広いメディア掲載など広報をうまく実行できれば、クラウドファンディング以外の資金援助も受けられる場合があります

江北図書館の場合、クラウドファンディングにより支援金が約950円でそれ以外に1240万円集まったそうです。新聞の全国紙にも掲載された影響でクラウドファンディング以外からも多くの支援が集まりました。