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野生動物と被害防除

~これまでとこれからを考える~
2023年4月26日(水)  (講師)  西村 友記 先生
 
(講師のご紹介)

 NPO法人 かもしかの会関西
  • 1970年代土山町造林木の被害を防ぐ柵を設置することで被害を防ぐNPO
  • 捕獲だけでなく、いろんな方法を示す
  • 侵入に強い柵を作るノウハウがあるので、年間何回か現地で講座を行っているグループ
  • 単に捕獲だけでない
  • 共存共栄でない戦いのノウハウを示している
  • 行政とタッグを組めたらいいが、行政が補助金を出している柵では抜け穴だらけ 、もう少しきちんと対策できれは効果が出る
  • 捕獲と「防除」のノウハウを提供している


 
4つの質問が出された
  • Q1 昔は獣害なんて無かった
  • Q2 シカやイノシシは森の動物、人里に出てくるのはおかしい
  • Q3 昔は里山が豊かですみわけができていた
  • Q4 たくさん捕れば獣害はなくなる
質問に答える Q1 昔は獣害なんて無かった

  • 昔からずっと野生動物とは、闘い続けてきた
  • 農業が始まって以降、野生動物とは戦い続けてきた
  • 闘い続けることが、持続可能で効果的な対応たった。それに伴い、被害防除・捕獲の技術や文化が生まれた
  • 明治以降、乱獲が進み、野生動物は急速に失われ、闘う必要がなくなった
  • 闘いが終わらせたことで、その技術や文化を失い、人びとの記憶からも失われた
近代農業や林業は、野生動物が失われた時代に発展し、獣害がないことが前提となった

万葉集には、獣害関連の歌がたくさん歌われている
Q2 シカやイノシシは森の動物、人里に出てくるのはおかしい
  • シカは条件のいいところに住む
  • 田畑や造林地はシカにとって住みよい場所である
Q3 昔は里山が豊かですみわけができていた

  • 昔の里山は、高木の林がほとんどなく草山・柴山
  • 田んぼには山でとってきた草を馬にすきこませさせて肥料としていた
  • シカやイノシシは草原の動物、草原は山地にも広がっていた
  • 現在の山は、高木が多く、草原の動物にとっては住みにくい環境となってる
Q4 たくさん捕れば獣害はなくなる

  • 被害防除をしないと、シカやイノシシを全頭捕りつくさない限り、被害はなくならない
  • 捕獲努力量と捕獲コストは増大
   
  •  草山・柴山というべき「里山」が集落周辺を中心に全国に広がっていた
  • 野生動物はエサ場価値の高い場所を利用することから「すみわけ」ができていたとは考えにくい
  • 「里山」もまた、人と野生動物との資源争奪争の場であった
侵入に強い防御策とは 

■補強支柱
各コーナーにつき、1カ所支柱10本ごとに1カ所補強支柱を立てる
 ■微地形対応
微地形に合わせた支柱の設置
隙間を作らない
     
 ■継ぎ目処理
ネットが終わったら、次の支柱までしっかり張り固定しネットを重ね合わせる
 ■アンカー強度
アンカーは強度のあるもの
長さは40㎝以上、材質はABS樹脂または鉄製
 ◆侵入に強い柵に必要なこと3つ
  1. 本気で取り組む
  2. 適切な構造の柵を効果的にする
  3. 維持管理をキチンと継続する


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