レイカディア大学米原校 40期園芸学科 授 業 レ ポ ー ト    2018年10月25日(木)発行

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 10月16日 火  果樹の生産と利用
果樹のポット栽培 
 松 原 治 夫 先生

1 私のポット栽培

  皆さんこれ何かわかりますか?

  カラー写真のものはポット栽培で5~6年のものです。

  計りに乗っている丸いボールのようなものは柿(太秋)摘果して実を少なくして大きくしたものです。

  カラー写真は、キウィ、ブドウ、イチジク、柿、サクラ ンボなど

 


2 イチジクと柿は(ポット栽培が)つくりやすい また、ポット栽培することで、露地栽培より早く実がなる。

  ただし、実を大きくするためにポットに7個ぐらいにし、他は早めに花または芽のときにとります。

  結果開始年齢になっていない果樹は、生育のために花が咲いても取ってしまいます。

 3年目になったら、ファーマーズポット(50L コメリで千円程度)に植え替えます。これぐらいになるとポットが重くなるので、ポットの底に発泡スチロールを細かくしたものを底が見えなくなるまで敷いて、そこに培養土と赤玉(保湿のため)を入れます。ポット栽培では培養土は安いのはダメです。安いものは腐葉土のくずみたいなものばかりで、水をやると底から流れ出ます。私は、培養土は3袋1300円のものを使っています。

 50Lポットは重いので、移動させる時には、移動用の台車(大中小が売られている)をポットをななめにしてポットの底に押し込んでからポットを台車の上に引きずりあげます。

3 イチジクの冬の剪定

 夏に葉を茂らせてつくられた栄養は根や太い枝に蓄積されます。2芽ほど下についているのを確認してから、思い切って剪定します。枝を2~3にしているのは、後の管理がしやすいからです。

 防草シートを丸く切ってポットに敷いてシート用ピンで留めています。

4 ブドウの冬の剪定

 らせん形に育てるブドウも冬にはこれぐらい剪定し、太い枝だけを残し、2枝あるようにしています。栄養は根と太い枝に蓄えられています。写真は上から見たところです。

5 収穫の終わりに追肥をする。
 これは、人間が飲むドリンク剤みたいなもの

 即効性のある化成肥料(8-8-8)または化成肥料(10-10-10)を使用する。苗元にではなく、枝先の下まで根が伸びているのでポットの外周に施肥する

6 果樹は1種につき2~3本買う

 6~7種類の果樹を各1本づつ購入するよりは、1種を2~3本購入し2~3種類とするお金の使い方をしたほうが良い。これは花粉がでるようにするためで、花粉が少ないと果実は実らない。

7 サクランボ:虫に食われると翌年の芽が出         てきて翌年には花がさかない。
  レモン  :年4回花が咲くが時期が合わな         いと実にならない。
  ビワ、かんきつ類:冬にも葉を伸ばす。

8 イチゴ:冬でもナイロンをかけて移動させ温室で育てれば十分とれる。ただし、人口受粉が必要。 イチゴを鉢ごと冷蔵庫に入れて冬が来たと思わせてから温室にいれると花が咲く。

  電照菊:果樹は日照時間に反応する。電照菊は日照時間を長くして、17時以降20時まで電照すると春が来たと思って花を咲かせる。
 

9 アボカドの水耕栽培(観賞用)

 アボカドの外側に爪楊枝を3本さして、水盤(蕎麦猪口サイズが丁度良い)で水耕栽培すると桃が割れるように芽がでてくる。ビワでもできる。

 冬は温度が低いと枯れるので室内で育て観賞用とする。あくまで観賞用なのであまり水はやりすぎないほうが良い。種は綺麗に洗うこと。
 
10 おもな果樹の結果開始年齢と成果期・・・桃栗3年柿8年というけれども・・・・・

  果樹の一生は、幼木期、若木(わかぎ)期、成木(せいぼく)期(成果期ともいう)、老木期に大別される。若木期になると花をつけ結実する。この年齢を結果開始年齢または結果年齢という。モモ、ブドウは早く、リンゴ、柿などは遅い。木は次第に大きくなり着果量も増え、安定する。この時期が成木期(成果期)。成果期を過ぎ老木期になると、一般に花芽は多くできても着果量は減少してくる。
 種類 結果開始年齢  成果期(年) 
 モモ 2~3  8~20 
 ブドウ 2~3  8~25 
 イチジク 3~4  8~25 
 ニホンナシ 3~4  10~30 
 クリ 3~4  10~30 
 ウメ 3~4  10~30 
 オウトウ 4~5  10~25 
 ビワ 4~5  12~30 
 温州ミカン 4~5  15~40 
 カキ 4~6  15~40 
 セイヨウナシ 5~6  15~30 
 リンゴ 5~6  15~40 
 
11 果樹の一生(上記9)とともに1年のサイクルを知る。落葉果樹と常緑果樹では成長の特徴が異なる。

リンゴなどの落葉果樹は、春には生育に適度な温度になると、樹体内に蓄えられている貯蔵養分を使って枝葉や根、花といった樹体を構成する各器官をつくるようになる。一方、秋には生育に適度な温度であっても新しく樹体をつくらず、葉でつくられた養分は太い枝や根にたくわえられ、翌春の成長に使われる。夏から秋にかけて自発休眠にはいっていく。

カンキツなどの常緑果樹では、冬に休眠に似た現象はみられるものの、そのていどは小さい。カンキツなどでは春のほか、夏や秋にも新梢が発生する。レモンのように、適温であれば年中新梢が発生するものもある。そして、葉でつくられた光合成産物は樹体全体に分配され、かなりの部分が冬でも葉の中にとどまっている。翌春の成長には、新梢の光合成生産物のほか、これらの貯蔵養分が用いられる。
 
12 果樹の成長を調節するおもな栽培管理

①光合成を効率よく最大限にするための作業(整枝・剪定、芽かき、誘引、かん水、施肥)

②果実の結実をよくし生理的落下を防ぐ作業(人口受粉)

③栄養成長と生殖成長のバランスをとるとともに、養分を芽や花、果実に集中させる作業(剪定、摘心、摘らい、摘果)

④根が適度に生育し、健全に機能する環境をつくる作業(深耕、施肥、かん水、草刈り)

 最後に

 おいしい果実の育て方(苗選び・植え付け・施肥・潅水)について知りたい思われた方

 既に1月30日に松原先生にこのテーマで講義を受けています。当HPの選択科目1月30日をご覧になって思い出してください。詳しく載っていますよ。

 

本日はお疲れ様でした。


 参考文献  :  「おいしい果実の育て方 」  西東社  小林幹夫監修  
            1章 果実栽培の基礎知識を復習しましょう。


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