巨木・名木を訪ねて レイカディア大学
米原校
園芸学科36期生
情報委員会編集
平成26年8月19日 
 授業日:平成26年7月15日

講師: 辻 宏朗 先生
 後期選択講座の一環として、「滋賀の巨木めぐり」新評論発行の著者でも
あり、23期園芸学科の先輩でもある辻先生に引率していただき、湖南地区、         湖東地区の巨木・名木の現地研修が行われました。
 
        
「湖南地区」

   ①泉福寺のカヤ、クスノキ、ケヤキ
       (甲賀市水口町泉562)
②弘法スギ(湖南市吉永)
  ③ウツクシマツ(国天然記念物)

  
「湖東地区」


④北花沢のハナノキ
 (東近江市北花沢)
⑤子八木の山の神ムクノキ
(東近江市小八木)
⑥ヒイラギの森
(甲良町池寺)

 巨木とは
「地上から約130Cmの位置で幹回りが300Cm以上の樹木またはこれらが生育している樹木・並木等。
尚、地上から130Cmの位置において幹が複数に分かれている樹木の場合には、個々の幹の幹周の
合計が300Cm以上であり、そのうちの主幹の幹周が200Cm以上のものとする」
(「滋賀の巨木めぐり」読本より

                    ■湖南地区
①泉福寺(甲賀市水口町泉)

カヤの木(中央)  クスノ木(右側)   ケヤキ
 
樹高:18m 幹周り:4.6m 樹齢:推定400年

カヤ(榧)はイチイ科カヤ属に入り、常緑照葉樹の中に散在することが多く巨木は少ないが、寺社に植えられたたものは巨木がある。油気が多く弾力性があるので、将棋盤や枝はその特性を利用して古来、タモ(魚釣り道具)などに使用したそうである。又カヤの実は食用となる。
 
データーは不明

クスノキ(楠又は樟)はクスノキ科ニッケイ属の常緑高木。葉は艶があり、主脈の根本近のくから左右一対のやや太い側脈が出る三行脈があり、その分岐点には小さな膨らみのダニ室がある。各部全体から樟脳の香がする。昔は枝葉を蒸留してして防虫剤の樟脳を作っていた。
 
データーは不明

ケヤキ(欅)はニレ科ケヤキ属の落葉高木。別名ツキ(槻)とも云う。葉の鋸歯は曲線的に葉先に向かう形で、鋸歯の先端は尖る。実は秋に熟すが、枝ごと折れて飛んでいく。いわゆる風散布種子だが、種子だけでは、羽がないので飛べない。木目が美しく、磨くと著しい光沢を生じることから、家具、建具等の指物に使われる。

②弘法杉(湖南市吉永)

  樹高:26m 幹周り:6m 樹齢:伝承750年

弘法大師が巡行の途中、土手で食事をした際に使った「杉箸」を堤に立てたところ、これが根付いて現在の大杉に成長したという伝説がある。又、この地に住む幼子の中に箸を左手で持つ子供にこの木で作った箸を使わせると自然に右手で食事をするようになるという。このため木の下にある枝はいつも切り取られていたそうだ。最近は三雲城や東海道を訪れる歴女の見学コースとしてにぎわっているそうです。

③ウツクシマツ(湖南市平松)

    樹高:13m 幹周り:2.8m j樹齢:推定300年

うつくし松は、主幹がなく一本の樹の幹が地表近く(2m位)から多数枝分かれし、庭木の多行松によく似た箒状の特異な形状をしている。自生地は湖南市の美松山南斜面のみであることから、1921年に国の天然記念物に指定された。5年程前から松くい虫の被害で旧甲西町で種を採ってまいて育成を試みたが遺伝子が引き継がれず多行松となってしまうそうです
 

「古木樹齢の表示」について一言

今回の巨木・名木見学でも樹齢は推定○○年とか伝承○○年が表示され、しかもその年数が大幅に違うので、先生に聞いたり、
ネットで調べてみた。樹齢は年輪で読み取りできるが、古木は伐採することができないので直接できない。そこで比較的簡単に
できる方法として、
①伝承による方法:神社仏閣の創建年代で出したり、人の思いで希望によって樹齢をだしたもの
②推定による方法:気象や土壌などの立地条件にあまり差のない場所で伐採された巨木の事例
   より推定するやり方や対象樹木の枯れ死部をサンプルとして採取し樹齢を推定する方法があるそうです。

ただ、看板は伝承樹齢と推定樹齢を併用表示しているのを見掛けるが、余りにもかけ離れているのもどうかと思いませんか?




■湖東地区

④北花沢のハナの木(東近江市北花沢)

   樹高:8m 幹周り:2.8m樹齢:推定300年

ハナノキはカエデ科の落葉高木の自生は珍しく、日本でも滋賀・三重・愛知・岐阜の4県のみだそうである。3月末~4月初めにかけての開花は美しいので是非訪れてみたい。北花沢のハナノキは古来より聖徳太子お手植えの霊木として村人が尊崇畏敬した樹だそうである。現在ハナノキは5本あるが、天然記念物に指定されているのは二番目に大きい南側の一本だけとの事。

⑤小八木のムクノキ(東近江市小八木)

  樹高:20m 幹周り:5.1m樹齢:伝承1500年以上

ムクノキ(椋)はニレ科でその特徴は樹皮がやさしく、葉の表面には細かい剛毛が生え、木工製品の仕上げ磨きに使われたそうです。又その実は熟すると黒褐色となり食することができる。味は甘くムクドリが果実を食べ種の散布に役だっているそうである。

小八木のムクノキは、周辺の田んぼの中にある一本の巨木で、遠目には小さな森のように見える。太い木の特徴から古くから山の神として崇められ、現在は子宝の神として訪れる人も多いと云われる。

⑥ヒイラギの森(甲良町池寺)

  樹高:7m 幹周り:4.2m 樹齢:伝承300年

ヒイラギ(柊)はモクセイ科に属し、その葉にはするどい棘がある。名前の由来はヒヒラギギの転訛で「ひりひり・ずきずき」と痛むとゆうことになぞらえてついたそうだ。。ところが老木になると、棘がとれ長卵型の普通の葉になる。
人も長じてかどがとれ、人格も円満になるという期待を込めていう。
当ヒイラギの森は池寺の田んぼの中に位置し、通称「野神さん」と呼ぶ塚があり、その真ん中に樹齢300年のヒイラギの老木がある。

湖南・湖南の巨木の地6ヶ所を訪問した。
中には日頃何気なく 車で横を通過して
いた場所もあった。
巨木の成り立ちや、古代からの信仰として
崇められた説明を受け改めて歴史を感じた
一日でした。
辻先生には、暑い中ご案内いただきありがとう
ございました。
 
本レポは辻先生の現地説明・
滋賀の巨木めぐりより
引用しました。


「滋賀の巨木めぐり」
 新評論 発行
定価2200円

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