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秋やさいの栽培管理(畑実習)
と野菜の病虫害について(講義)

(元八日市南高校教員:松原治夫 先生)
レイカディア大学
彦根キャンパス
園芸科44期生
広報部会編集
更新日:令和5年11月12日

今日から11月。暦では、、、。
 米原の実習菜園にも確かにコスモスが咲いて秋は来ていましたが、なんと気温が25度近くになり、作業をすると汗ばむくらいの陽気な秋晴れでした。
    (気象庁によると全国的に、11月に気温が20、25度越えは未だかつてなかった記録的な高温でそうです。)

  9月1日に「秋やさいの土つくり、植え付け準備」。9月6日に「播種、植え付け」。
  平年より生育が早く、ニンジンとキクナを除いて、約2ケ月で収穫となりました。

               ★プランターと圃場に直播した種は下記の5品種でした。

 ■おさらい■  
・播種したら、水をたっぷりと!
  ・播種した種を鍛圧すること  ・土の流出を抑えて種の流出移動を防止
・土温度の保持   ・種の沈降 ・・・・・・・・・・・・・・・・ いずれも発芽しやすいようになる。 

プランターに播種

圃場にすじ播き

★苗を移植したのは下記の品種です。 
 ・ハクサイ(65日)   ・ブロッコリー(シャスター)  ・キャベツ (初秋) 

さアー!!!  秋だ!!  収穫だ!!!
【午前の畑実習】
 ・ダイコン

      ・見栄えは上出来のダイコンなのですが、、、。

◆ ダイコンに問題発生 ◆

★このようなダイコンの生育不良は、レイ大、園芸学科のグループラインで三國さんから10月25日付けで報告され、松原先生にも情報提供されています。【ダイコンの芯に茶色い空洞の発見。どの部分を切っても茶色くて空洞だと。】 
 今日11月1日は実習の中で、この菜園で収穫したダイコンを数本抽出して、みんなの目の前で切ってみると、上の画像のような同じ状態でした。
 この原因については、午後の講義の中で説明をしていただきました。(午後の講義を参照)

・下図のダイコンは、「(叉・又・股)また根」と呼ばれ、根の生長点が枯死すると、本来側根であった複数の生長点が代替えとして伸長肥大して、また根になります。
 この原因は、ダイコンの直根部分が石や硬い土や肥料の塊などで障害を受けて、また割れする現象です。
 ですからダイコンの病気ではないので食べることができます


  ・赤カブ  白カブ  みんなの生育管理が良かったので、バッチリです。

 ・ハクサイ                    ・キャベツ

 ・チンゲンサイ(収穫が遅れ少し大きく成り過ぎたようだ) ・キャベツは綺麗に結球しました。

 ・小さいバッタがいました。その場で捕殺。        ・ニンジンの収穫まであと10日から2週間

            ・松原先生から、午前中の実習の総括の説明を聞く

       ・畑のオーナー宅前で収穫した野菜と集合写真(みんなニコニコ!)



【午後の講義の内容】・・・午前中のダイコンの件について。

1.ダイコン
午前中のダイコンの輪切りで発見された、芯が黒くて空洞の原因。 

 【考えられる原因】

①黒芯症           ②黒斑細菌病     ③青あざ病症
・生理障害          ・細菌        ・生理障害
・平年でない高温乾燥                ・アントシアニンが
・土が硬い 風通しが悪い              ・ダイコンにも含まれ
・肥料過多                     ・ホウ素不足だと  
・種子の「耐病総太り」が合わなかった        ・葉が黄色くなる

 【原因だろうと思われるのは】
①この菜園が何年も実習に使用されて来たので、連作障害が起こっている可能性がある。
②病気(カビとか細菌)より
土壌の条件と相性が悪くなったのか。

 9月6日に播種後、余った種「耐病総太り」を播種した学生からは、収穫したら「黒芯症」のような症状は出ていないとの報告があった。という事は種自体には原因は無いのだろうと思われます。
 また、この菜園で収穫したダイコン2本を持ち帰り、切ってみたところ、茶色の空洞が無かったという報告もありました。
おそらく大半は空洞が出来ているが、全部が全部、芯が黒くて空洞とはなっていないと思われる。
でも大部分的にやはり土壌に原因がありそうで、それが生理障害と推測されるなら、「連作障害」という事になるのだろう。
 特に今年は、長く高温乾燥が繰り返された異常な気候も手伝ったのだろう。 

それでは、他の野菜も長年同じ圃場に栽培されているが、連作障害が強く出る品種、つまり休栽期間を長く必要とするものと、連作障害の出にくい野菜もあるということであるならば、結論はそこに落ち着くのでしょう。

      ◆◇◆ 連作障害の出やすい野菜と出にくい野菜 ◆◇◆
連作障害の
出やすい野菜
エンドウ、ナス、スイカ 7年以上の休栽
ゴボウ、トマト、ピーマン 5~6年 休栽
サトウダイコ 3~4年 休栽
ダイズ、シロウリ、ナガイモ 3~4年 休栽
キュウリ、ジャガイモ、インゲン 2年 休栽
連作障害の
出にくい野菜
サツマイモ、カボチャ、ニンジン、
タマネギ、ネギ、コマツナ、ニンニク
ショウガ、フキなど

2.タマネギ
・今頃が植え時のタマネギの品種(品種、メーカーの選択がポイント)
①ソユーズ:極早生(4月収穫)・・・ビギナー向けで作りやすい
②ソニック:早生
③ネオアース:中
・苗の植え付けは11月中旬~12月初旬
・ヨウリンを多投して球の肥大をよくする
・春先に2回の追肥を行う
・茎が50%程倒れたら収穫時期

3.ニンジン
・ニンジンは好光性種子のため、浅撒きする事
・種子と土壌を密着させるため、種まき・覆土のあと鎮圧する事
・土を深く耕してよく砕き、小石を取り除く
・酸性を嫌うので、苦土石灰でpHを調整する(pH5.5~6.5)
・耐病性品種を選び、発芽までは十分に灌水を行う
・圃場にもみがらや燻炭をすき込むと良い(燻炭はマーガレットステーション横の菜の花館で入手可)



【おまけ】
                 イチジクの一本仕立ての成長記録
★令和5年05月10日

★今日、令和5年11月01日
 平年よりも気温が高いので、また実(花の部分)も付いていました。
 一本仕立ては場所を取らないので合理的、効率的ですね。