琵琶湖環境の課題と マザーレイクゴールズ(MLGs) (滋賀県琵琶湖環境科学研究センター 専門研究員 佐藤祐一先生) |
レイカディア大学 彦根キャンパス 園芸科44期生 広報部会編集 更新日:令和5年4月17日 |
テーマは「マザーレイクゴールズ(MLGs 滋賀県の河川環境~河川の研究を通じて~ | ||||||||||||||||
<説明> 琵琶湖の水域環境に係る調査は、いろんな先生が研究されています。それだけ色々な課題が発生し、我々の生活環境にも密接につながっているからなのです。 また、我々滋賀県民にとって琵琶湖は、琵琶湖に注がれる河川を含めた生活の一部であり、滋賀県民だけでなく、京阪神の水瓶として必要不可欠な湖なのです。 今年、2023年(令和5年1月5日)の基礎講座でも、『琵琶湖の環境…私の想い(滋賀県立大学教授 大久保卓也先生に、テーマは「琵琶湖の水環境の変遷と今後の課題 ~過去半世紀の変化を見ながら考える~ 」』を習いました。 今回、佐藤専門員の研究は、琵琶湖の流入負荷量の変遷、窒素・リン濃度《富栄養化問題》、透明度、赤潮・アオコの発生《琵琶湖総合開発事業による下水道の整備が進むことによる新たな問題》の中から、琵琶湖の漁獲量の減少、外来魚の増加、在来魚の減少、南湖(琵琶湖大橋より名南部)を覆う水草の大量繁茂、水質改善と動植物の異変問題。 最近では、「琵琶湖の深呼吸」全層循環の未完了へと研究課題も変遷しています。 琵琶湖の問題は、水質改善から別の問題へ波及。 2000年琵琶湖の総合保全のため、『マザーレイク21計画』が策定されました。「基本理念」~琵琶湖と人との共生~(琵琶湖を健全な姿で次世代に継承します) 2050年頃の琵琶湖のあるべき姿を念頭に、2010・2020年の目標を設定する「バックキャスティング」と言う手法により将来像を追求していく計画です。 MLGs とは「琵琶湖」を切り口としてSDG sと私たちの暮らしをつなぐ 2030年の目標です。 詳しくはこちら ⇒ https://mlgs.shiga.jp/ MLGsで目指す13のゴール『Mother Lake Goals』 変えよう、あなたと私から ◎琵琶湖環境をめぐる最近のトピック ①気候変動で琵琶湖はどうなる? 滋賀県の気候の変化。平均気温は、100年あたり約1.4℃上昇 無降水日数は100年あたり7.5日増加 「全層循環」琵琶湖の深呼吸とは、 表層の水と低層の水が混ざり合うことを全層循環と言い、「琵琶湖の深呼吸」とは、この自然現象のこと。 水の比重は約4℃で最大となり、温度が上がると水は膨張し比重は小さくなります。 温かい季節は表層付近の水の比重は小さいので沈みにくい状態になり、寒くなると比重が大きくなり下層の水と混ざり合います。 この時、表層の酸素を多く含んだ水が低層に運ばれ、上層から下層までの酸素量と温度が一様になり、湖底の魚介類にも住みやすい環境となるのです。 2019年と2020年の2年間は暖冬の影響もあり、この深呼吸をしなかったと観測されています。 ※図解は、滋賀県琵琶湖環境科学研究センターのHPより参照 循環しないことによる様々な影響が懸念されます。酸素が減って魚が死ぬ可能性は十分にありますが、他の生物にも影響を与えるので、湖の生態系のバランスが崩れるなど、それ以外のことが起こる恐れもあります。何しろ初めてのことなので予測は難しいですが、いずれにしても琵琶湖に大きな影響が考えられます。 ② マイクロプラスチックって危ないの? マイクロプラスチックは微細なプラスチックごみ(5㎜以下)のこと。化学物質を吸着することなどにより、生態系に及ぼす影響が懸念されます。2015年独G7首脳宣言においても、海洋ごみ(とりわけプラスチック)が世界的な問題であることが確認されました。 ・粒子毒性・・・プラスチックが物理的異物であることにより、生理学的な影響を与える ・化学毒性・・・プラスチックに利用される添加剤や、環境中で吸着した有害物質により影響を与える。 ※プラスチックそのものに毒性はない 琵琶湖の魚の4割からマイクロプラスチックが検出された。そして、琵琶湖の流入河川からも検出されました。 マイクロプラスチックの難しさは、何を問題として捉えることにより、その対策も異なる点である。 よって、プラスチックからバイオマスへの切り替えが必要であります。 ③ 誰にでもできる「小さな自然再生」って? 「小さな自然再生」とは、小規模で速やかにかつ低コストで行う自然再生のこと。 ・自己調達できる資金規模であること ・多様な主体による参画と協働が可能であること ・修復と撤去が容易であること できることからはじめよう。小さな動きが横につながり、いつか琵琶湖も社会も変えていける。 大久保卓也教授に、琵琶湖の「保全」・「治水」・「利水」をバランスよく考えて、将来の世代に残していくことが我々使命義務だと教わりました。 さらに佐藤祐一専門研究員より、化学的データの分析から環境保全に関する研究課題をわかりやすくお話をしていただき理解が深まりました MLGsで目指す13のゴール『Mother Lake Goals』 変えよう、あなたと私から この主旨に一人でも多くの方がご賛同願えたらと思います。 『 レイカディア大学は滋賀県民ならではの問題に取り組んでいます !!! 』 ※講義風景写真掲載
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